フランスの旅 Day 1 − Fri 21/07/2000
バンコク経由タイ航空で次男と二人朝6時半にパリに到着。 久々の長時間飛行は疲れるがなんとか眠れたし4 年ぶりのフランスでのバカンスを元気一杯開始。 満席だったためか荷物がなかなか出て来ない。シャルル・ド ゴール空港1(後で出来たCD2は当然ずっと新しくて大きいらしい)は出来た頃はヒューチャリスティックで 広々と感じたが2年前に完成した香港の空港とは比べるべくも無く狭く小さく感じられる。
早朝にも拘らずロベールがニコニコ顔で迎えに来てくれていた。彼の3人の子供たちはそれぞれ家庭を持ったり 独立済み、7年前には定年退職し夫人のジェルメーンと二人暮らし。 長年の美食・美飲に加えて退職後運動不 足なのか体重が増えたようだが元気そうでよかった。
初めてフランスを訪れたのは1979年。それ以後○○○家の長男ルドビックと知り合った結婚前の夫とともに毎回○○○家でお世話になり今回で4回目だ。 一度目は1980年の2ヶ月間、2度目は1985年当 時1歳の長男を連れて1ヶ月間、3度目は1996年家族全員で2週間。 3回目の時私は既に勤めに出ていた ので1ヶ月の休みを取るのが精いっぱい、しかも欲張ってイギリスにも立ち寄ったのでフランス滞在2週間は慌 ただしく過ぎてしまった。 次回はもう少し長くと翌年1997年当時13歳だった我が家の長男が家族を代表 して夏休みの2ヶ月をクーロン家の次女ブリジットの家庭にお世話になった。 ブリジットには長男と同じ年齢 の一人娘ジェシカがおり、2ヶ月の滞在を終えて帰って来た長男はフランス語をぺらぺら喋りながら飛行機から 出て来てびっくりしたものだ。 後からフランス語を習い始めた長男に負けてはならじとその時から巻き返しの チャンスを狙っていたのだ。
ご挨拶の抱擁+両方のほっぺに4回のキッスの後、相変わらず汚れ放題のロベールの愛車でパリの外環状線を半 周して郊外の○○○家のアパートへ。 日本や香港だと4、5年も経つと街の様子が変わってしまっている事 が多いが、フランスは何度きても景色が変わらない。30分ほどで懐かしいアパートに到着。 夫人のジェルメ ーンと感激の再会を果たす。 この人は私にとって最良のフランス語個人教授。 ルドビックの自慢のママだけあ ってお料理も上手で随分教えてもらった。 今日は通りの向かいで週3回午前中開かれる青空市場があるからと 早速一緒に買い物に出かける。 フランスはヨーロッパ真ん中の一番恵まれた土地を大きく占め、気候にも恵ま れ先進農業国の名をほしいままに、市場やスーパーは自然の恵みをたっぷり受けた新鮮な野菜、果物、肉、魚、 酪農製品が豊富に盛られ、キロ単位の量り売りだ。しかも安い。 市場に来る人は持って来た大きな買い物篭に 買った商品をボンボン放り込んで帰る。 ステーキ用の鮭の切り身1kg 75フラン。(2600円ぐらい) (香港価格の4分の1だ!) 真っ赤に熟したおいしそうなトマト、エンダイブ、ネクタリン、アプリコットな どの1kgの値段が香港の輸入物の値段ほぼ1個分。 羨ましい。 食料の他に日曜雑貨、衣料、おもちゃなどの 店もあり持って来たフランをくずすために花屋さんで愛らしい花束を作ってもらいジェルメーンに進呈。 帰り にいつものパン屋さんで焼き立てのバゲットを手にすると次男はもうガマンできなくなり端からちぎって食べ出 した。 私の手も思わず伸びている。
ロベールの家では昼食がメインで夕食は軽い。 まず女性用の食前酒はKir(キール)を頂く。 カシス(ブラッ ク・カラントのリキュール)をヴァン・ムース(スパークリング・ホワイト・ワイン)で割って飲む。 シャン ペングラスに淡いピンクがきれい。 男性はRicard (リカー)の水割り。 琥珀色のリカーに水を注ぐと白濁す る。 アニシードを使った非常に癖のある飲み物だが好きな人にはこたえられないらしい。 フランスではお皿に 全部の料理を一度に載せてしまわないで1品ごと出される。 今日は魚料理なので白ワインが注がれ最初はマッ シュポテト。マッシュといってもムリネで漉してあり、バター、チーズ、牛乳がたっぷり、とても滑らかでリッ チなお味。 毎日食べたら太りそう。 フランスの庶民にとってパンは食器でもありパンとフォークを同時に使っ て食べる人が多い。 そうしてフランスパンをかじり最後にお皿に残ったソースをパンできれいにしてから次の 料理に臨むから食べる量は多くなる。 その後のメイン料理は先ほど仕入れた鮭。 玉ねぎとレモンのスライス、 鮭にパセリ、タイムを散らせ、オリーブオイル、バター、白ワインをかけてオーブンで焼くだけ。 簡単に出来 て豪華でおいしい。 最後は必ず数種類のチーズ。 今度は赤ワインを注ぎパンをかじりながら食べる。 チー ズ、赤ワイン、フランスパン、この3つが夫々の味を引き立てる絶妙な取り合わせ。
食事をしながらお互いの四方山話を交換。 ロベールの長女カトリーヌの長男ニコラは18歳になったがバカ ロレアの試験に2年連続して失敗し学校をサボりがち、そしてこともあろうにドラッグに手を染め親が適切な対 応をしないため叔父であるルドビックとパピイ(おじいちゃん)マミイ(おばあちゃん)であるロベールとジェ ルメーンが3人一致団結して2ヶ月の夏休みの間ニコラを悪い仲間と接触させないためロベール宅で預かりその 間ルドの勤務先でアルバイトさせていることを聞かされた。 ロベールのアパートは寝室が2部屋しかないので 次男と私は当分の間同じ棟の一階にあるイベットのアパートを貸してもらう事になっているそうだ。 彼女は離 婚して今は一人暮らし。彼女がバカンスに行っている間どうぞ使って下さいとオファーがあったのだそうだ。 そういえば、4年前に家族4人で来た時は偶然隣のアパートが空室になっていたのでそこを使わせてもらった。 何という超庶民的かつ長屋感覚溢れるアパート! そのうち全世帯を走破と言うことになるんじゃない?とから かわれてしまった。
夕食前のアペリティフに次女のブリジットがボーイフレンドのイルとマルセイユからバカンスに来ている友人一 家を伴ってやって来た。 3年前我が家の長男はブリジットの家に2ヶ月預かってもらったがその後しばらくし て熱々アツカップルだった夫のディディエと離婚してしまった。 彼ら夫婦とは新婚の頃、そして子供たちが小 さかった頃一緒に南仏やノルマンディー、ジュラなどを旅行したりして一番親しくしてもらっていたので私たち にとっても非常にショックだ。 多感で傷つきやすい年頃の娘ジェシカのことが心配だ。
以前は着いてすぐの頃はフランス語を喋ろうとすると広東語が出て来たりして困った事があったが、今回は意外 とすんなりと溶け込んでいる自分に少々驚いた。 この2年ほど機会がある度にフランス映画に通った成果があ ったのかな。
|