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【12月27日号】【12月8日号】

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12月27日


「ガレージドア」

 アメリカの家はだいたいガレージがビルトインになっている場合が多い。
我が家のガレージも車2台が入る大きさで、家の正面から見ると一階部分、実は半地 下になっている部分にあり、ドアはリモコンで開くようになっていて、 雨の日も濡れずに車に乗り込めて、山のように買い物をしてきても、 ガレージの隣にある半地下の物置きに予備の冷蔵庫やでっかいクローゼットがあるので、 重たい荷物を持って階段を上り下がりしたりしなくていいように、非常に機能的にできている。

 そのガレージのドアが壊れてしまった。ドアは上から2本のワイヤーで吊るされてい て、モーターで開け閉めできるようになっていたのだが、そのワイヤーうちの1本が 切れてしまったのだ。
さっさく不動産屋に電話をして、修理の業者を呼んでもらったが、ドアを全部取り替 えないとだめだという事になってしまい、大家さんの了解も得て、ドアの取り替えを してもらう事になったが、ここはアメリカ、日本のように、「すぐやります」という サービスは絶対に期待できないのである。
10日程たって、やっときてくれたおじさんは、ドアのサイズをちょこちょこっと計っ て、「じゃ、またくるから」と言い残して去っていった。
それからまた10日程たったが、何の連絡もないのにしびれをきらして、業者に電話を かけて留守電話にメッセージを残すが、返事がきたのは、さらに2日後。
「今、ドアをオーダーしてるから、来週の水曜日くらいに修理できるよ」
真夏ならいいけど、冬は車を外に置きたくない。朝出かけるときにガラスが氷りつい たり、氷点下の中でがたがた震えながら氷のように冷たいハンドルを握るのはできた ら避けたいのである。
さて、約束の次の週になったが、やはり何の連絡もない。
今度は、不動産屋に文句の電話をかける。
「わかりました、私のほうからも電話しておきますけど、相手はアメリカ人ですから ねぇ」
不動産屋は日本人である。
せめて雪が降り出すまでには直してもらえるのだろうかと不安になったころ、朝突然 電話がはいる。
「今からガレージドアなおしにいくよ。今日は家にいる?」
今週はスケジュールがぎっしりだというのに、もうちょっと前から連絡を入れて欲し いものだ。
どうしてもキャンセルできない用事のある私が困って、午後からは業者を残したまま 出かけるからと宣言すると、 「じゃ、俺が午後帰ってくるから」と夫 ガレージドアを壊した原因は彼にあるので、ちょっと弱気になっているらしい。
そのうえ、業者とはいえ、他人を残したまま家を留守にするのは、やっぱり物騒なの である。

「黒人の男の人がくるけど、彼はとってもいい人だからね」
10時過ぎにやってきた彼は、夕方私が帰ってきてもまだ仕事を終えていなかった。 「モーターの調子が悪いから新しいのが必要なんだけど、来週の月曜日にまた来るよ 。月曜日はいる?」
やっぱり1回では直らなかったなぁと予想通りの展開にうなずきながら、来週の月曜 日に彼が来る確率は50%だなあと予想する。果たして月曜日、やっぱり彼は来なかっ たのである。

 次の日、業者のボスから電話がはいる。
「例の黒人の男の人、とりはずしたほうのドア、ちゃんと回収していった?」
ここで、ブチッと切れてしまった私は、金曜日に来て、モーターが調子悪いから今度 は月曜日に必ず来るって言ったのに来なかったこと、そのためにわざわざスケジュー ルを調整して1日中待ってた事をまくしたてる。
「I'm sorry.」というと、次の日あわててやってきてくれたボスは、モーターは調子 が悪いのではなくて、黒人の男性が取り付けるときに、無理な力を加えてしまったた めどこかの部品のネジが効かないようになってしまっている事、新しいモーターを手 に入れてまた明日くるからと言い残して去っていった。
ここまできたら とことん気長に待つしかないのだが、私が仕事を持たない主婦だか らいいようなものの、忙しいアメリカ人の主婦なら、こんないつになるかわからない いいかげんな約束につきあっていられるほど気長とは思えないのである。
ボスは60才はすぎているだろうと思われるイタリア系のアメリカ人、とっても陽気で 大きな声で歌を歌いながら楽しそうに仕事をしている。ときどき様子を見に行くとあ あだこうだと私に説明をしてくれて、何度も「悪かったね、今日は必ずなおるからね 」と言ってくれる。
ボスの話によると、最初に来た黒人の男性は、もう15年以上も雇っているのに、いつ も中途半端な仕事をしては、彼を困らせているらしい。
仕事が終った頃を見計らってコーヒーとパウンドケーキをもっていくと、「コーヒー ? いいねぇ〜」とにこにこしながら、お砂糖をたっぷりいれておいしそうに飲み、 家族の話をうれしそうにしている姿はほんとうにかわいいおじいちゃんで、ちょっと きつく言い過ぎたかなぁと反省してしまった。
モーターを動かすためのリモコンのテストも無事に終って、やっとガレージドアの取 り付け工事は完了した。
帰り際に、おじさんは、 「取り外した古いドアはそのうちに例の黒人が回収に来るからね」といって、庭に積 み上げて帰っていった。
ところが、それから3週間程たっても、まだ古いガレージドアはそのまま庭に置いて ある。
「1ヶ月以内に回収に来てくれればまぁいいか」と思ってる私も、NY生活のせいでず いぶん気が長くなったよう気がする。




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12月8日


「免許更新」

 サンクスギビング明けから10日間、この時期にしては異常な暖かさがつづいているNY。 いつもの年なら雪がつもっていてもおかしくないのに、子ども達はTシャツで走りまわり、 アイスクリームを食べながら歩く姿が目につきます。
車は昼間冷房を効かして走り、デパートも冷房が入っているという信じられない状態で、 昨日はとうとう摂氏24度という観測史上最高の温度を記録してしまったとか。
地方紙を読んでいたら、この異常な気象についての大きな記事が掲載されていて、 「このままいくと、このあたりにもヤシの木が育ってすてき」「サンタに夏用の衣装 をプレゼントしなくちゃいけない」とか、アメリカ人らしいジョークが書かれていま した。
来週、うちに遊びに来る予定の日本の友人からのFAXで、「NYは今、−10度くらいで しょうか?やっぱりダウンのジャケットは持っていったほうがいいのでしょうね」と 尋ねられて、なんと答えようかと苦笑いしてしまいました。

 12月と言えば私にとっては誕生日の月なのですが、 先月、モータービークルというところから書類が送られてきました。
1995年に取った免許が3年経ったため更新のお知らせで、
簡単な質問
1、眼鏡をかけているかどうか?
2、補聴器がいるかどうか?
3、最後の免許更新後
  意識不明、てんかんなどにはならなかったか?
  聴覚障害はないか?
  心臓病がないか?
  手足、目を失わなかったか?
これらにイエス、ノーで答えて、サインをして、更新手数料のための小切手($28) を同封して送って下さい、あなたの写真はこちらに保存してありますので、郵送で更 新ができます というものです。
小切手は個人用で、買い物のときにもいつも使っているので手許にあるし、自宅のポ ストに郵便物をおいておくと、配達に来たついでに回収していってくれるので、まさ に自宅にいながら免許更新ができるのです。
郵送してから約3週間たって、今日配達されてきたぴかぴかの免許書は2003年12月の 誕生日までの5年間有効で、写真はもちろん3年前のもの。
髪型も今とはぜんぜん違うし、3年前の写真はたしかに3年分年をとっていないまま の若さです。
(そのころは、まだ30代だったのです)
このまま、何回も更新を繰り返していくと、写真は若いままなのに本人はどんどん年 を取っていくという不思議な状態が予想されて、写真は16歳のままなのに本人は7 0歳なんてこともおこりうるのでしょうか?
日本の免許更新のように、わざわざ出かけていって列に並んだり、長い時間待たされ たり、ありがたいお話を聞かなくちゃいけなかったりはしなくていい分、楽なのはい いのですが、やっぱり写真だけが異常に若いと、なんだか他人に免許書を見せるのが 恥ずかしいような気になるのは、私が典型的な日本人だからでしょうか?




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