悠遊素敵 15(2001.8.16)
Photo by Goo-san


なにわのチンチン電車 in エドモントン


この風景、わかりますか? そう2001年世界陸上が開催されたカナダのエドモントンの街で
男女のマラソンのTV中継で映されていた路面電車です。

写真が多いので重いです。すみませんm(_ _)m


エドモントンのチンチン電車


2001年8月、世界陸上選手権がカナダ・エドモントンで開催されました。
初日の男子マラソン、最終日の女子マラソンで、ちょっと面白い光景が画面に現れたのです。
38キロ地点ぐらいの、選手がそろそろデッドヒートを繰り広げようかという辺り、ハイレベルブリッジというとても橋脚の高い橋を選手達が渡っている頭の上を、緑の小さな路面電車が一両、コトコトと走っていたのです。
男子マラソン中継のアナウンサーは、「この電車は、大阪の阪堺電車で、観光客をかれこれ○万人運んできました・・・・。」と説明していました。
この電車を見て、「あっ!」と驚きました。半年ほど前に、エドモントンに住んでおられる日本人の方(HN・ぐ〜たらさん)から、「面白いモノを見ました・・・」と緑のチンチン電車の写真をメールでいただいていたからです。
極東の島・日本から、はるばる太平洋を越え、ロッキー山脈を越えてカナダの北の国・エドモントンに、チンチン電車はどんないきさつで渡ったのでしょうか?
わがHPでは、「私的住吉学」と銘打って大阪〜堺間を走る阪堺電車の勇姿(車両に様々な企業の広告が描かれて、なかなかユニークなチンチン電車です)を写真でアップしているものですから、余計に興味津々で阪堺電車に問い合わせてみました。

技術部のK氏のお話では・・・
カナダ・エドモントンにある、ウエスタン鉄道博物館の海外購買責任者のカイザー氏から、平成元年12月、阪堺電車に手紙が来たのです。
その手紙には、日本とカナダを行き来している医療機器関係の仕事をしているM氏から聞いたということで、阪堺電車の部品を発注したいというものでした。
平成2年1月、カイザー氏が早速来日。部品を見に来たはずが、「247車両」の廃車の情報を得て、2月に廃車になった2車両をカイザー氏が仲立ちとなって契約。
1両は鉄道博物館で部品として展示、もう1両は、エドモントンラジアルレールウェイソサエティが購入したということです。
そのエドモントンラジアルレールウェイソサエティが購入した1両こそ、ハイレベルブリッジを渡っていた緑のチンチン電車なのでした。
平成2年11月13日、堺市、花田口レールから車両は離れ、トラックに積まれて堺港から出航。平成3年2月、85日間の海路、陸路の旅を経てエドモントンに到着したそうです。

エドモントンのぐ〜たらさんのお話しでは、現地のボランティアの方々でチンチン電車は運営されているそうです。
写真を見ておわかりのように、車内広告や行き先の表示など、全て当時のままの姿で動いています。
行き先表示はロールでクルクル廻せる為か、日によって「あびこ道」行きになったり、「えびす町」行きになったりしているようです。
あびこに住む私達は、なぜかくすぐったい思いでそのお話を聞きました。
なにわの煩雑な商都を日々走っていた旧車両が、緑と雪におおわれる風光明媚なカナダの北の町をのどかに走っているなんて・・・。
そして、エドモントンの人達にかわいがって貰いながら、一生懸命走っているチンチン電車を遠い目で思い浮かべて見るのでした。

(阪堺電気軌道株式会社とカナダのぐ〜たらさんのご協力を得ました。)


車窓から見える美しいエドモントンの風景




悠遊素敵 目次

私的住吉学に戻る

極楽とんぼに戻る